アリエル・アロー・S・スポーツ キット:エアフィックス 1/16
God Hands Sugita氏が昨年完成させたアリエルの製作過程をまとめてくれました。

このキットは解説にも書きましたが、全て1色モールドで、今の目で見たら信じられない
ほどシンプルな、貼り合わせ最中のような(ひどい)キットです。
大昔に買ってはみたものの、組み立てる気にすらなりませんでした。
彼はそんなキットを喜んで持ち帰り、実に見事に仕上げてくれました。
感謝、感謝です。

この解説は
彼の書いた「文章」に、私が「コメント」を付け加えて構成して見ました。
1.仮組みでのチェック
まずは仮組みからです。
実車写真と比較しながら作戦を練ります。
ボディの縦幅が広すぎるのが気になりますが、
そこまでの改良は無理ですね。
フロントフェンダーを適当に直してしまい
ましたが、アリエルのフェンダーらしくなく、
これはオーナーに怒られて(*)しまいました…

別に怒ったわけではありませんが、ボトムリンク
型サスペンションはフェンダーがタイヤと連動し
ませんので、必然的に大きいストローク幅をカバー
する深いフェンダーを持つことになります。
ホンダのスーパーカブもそうですね。
特にアリエルはここにナンバーを貼る英国人が
多く、特徴の一つとなっています。
ですからフェンダーを浅く削ったのは残念だった
ねェ、という訳です。
2.タイヤ、各パーツの製作
タイヤは、スポークを虫ピンで、ニップルを真鍮パイプで取り付け、リムとゴム部分は塗装で塗り分けします。
エキパイ、ハンドルにはアルミ箔を、シートには赤の本革を貼り、リアサスはアルミパイプに置き換えました。
タンデム用のサイド・グリップは真鍮線で、前後ブレーキはアルミ版で自作しました。
ハンドルもアルミパイプで作ったほうが綺麗でした。

このホイールとタイヤが一体になったプラモデルは、初期のキットの特徴です。今なら誰も買わないでしょうね。
リムがタイヤと分かれませんので、ニップルつきのスポーク貼りは結構面倒な筈なのに、簡単にやっつけているあたりが
大したもんです。
3.エンジンの製作とアッセンブル
キットのエンジンパーツがとても使えないので、アルミ板でエンジンフィンを
自作しました。(フィンの製作は、How to ? に掲載してあります)、
その完成後、キャブレーターとエキパイの取り付け具合を確認し、さらにスイング
アームと一体になっているエンジンの両サイドカヴァー(?)にアルミを貼り、
ボルトは虫ピンを刺します。
キックなどペダル類の取り付け部分がちょっとした自慢です。
後輪を取り付け、前後左右から歪みがないように気を付けて、後は最後まで一気に
組みたてました。

まるで実車の組み立てを見ているような心地良さがありますね。
彼は書いていませんが、エキパイの取り付けなどで相当あちこち削ったりして苦労
したようです。この精密なキャブレターやキックペダルなどはもち論元々のパーツ
ではありません。彼の手先から生み出された自作部品です。
4.ディティール・完成へ
リアのライトは、別キットの何かのクリアーパーツを加工、
エキパイを支えるステーは、キットのものをギリギリまで 
削って製作。
ハンドル周辺のパイピングはなかなか気に入っています。
スピードメーターはグンゼのエッチングのメーターを使用。
ヘッドライトは「Pro Hobby 6角リベット」で留めてあります。
(これは重宝しますが現在生産中止になってしまったとか…)

1/16という小ささを全く感じさせないディティールです。
今の優れたキットでは、説明書に従って部品を切り取って 
貼り付けるだけでもそれなりに完成する(失礼)かもしれませんが、
この時代のキットは 
それだけでは「食玩」以下の仕上りにしかなりません。
God Hands SUGITA氏のように、ここまで手を入れるのは大変ですが 
手を入れれば入れるほど素晴らしく変身してくれ 
ワンオフを完成させる愉しみが増してきます。
皆さんも一つチャレンジして見ませんか? 
以上で完成と思っていましたが、
タンクマークがついておらず、現在も
デカールでの自作を検討中です。
G.H.SUGITA Wrote

そうです。のっぺりしたタンクはいけません。
ここにタンクマークが入らないと画龍点睛を
欠くと言われても仕方ありませんよ。

それにしても美しい仕上がりですね。
お疲れ様でした。

いろいろ偉そうに文句言いましたが私が
作ったらとてもこんなきれいにはできません。
人のを批評するのは気が楽でいいなァ。
K.H.G.Owner Wrote

完成品はGARAGE 2 に収納済です。