トライアンフ3HW 軍用タイプからレーサーへの改装 ベースキット:エッシー 1/9
英国のクラシック・レーサーにはとても興味を引かれます。
特に戦前から戦後、まだモーターサイクルレースがプライベーター達の手の届く
ところにあった頃、彼らがサンデーレースに出場するために裏庭で日頃の愛車の
保安部品を取り外して作ったような、カウルもない小さなレーサー。
それはまさにモータースポーツの原点ともいうべき機能美と荒々しさ、そして
可愛らしさを全身で表しているようです。
そんなレーサーを作りたいなとチャレンジしたのが、トラ3Hをベースにした
ロードレーサーです。
ベースキットはESCIのトライアンフ3HW軍用モデル。
3Hは実車解説にも書きましたがOHVの実用車で、本来はタイガー90あたりを
使用したいところですがキットがありません。
外見的によく似ていますので、今回はこれで行きます。
最初の製作過程  エンジンの製作
アルミ箔でエンジンを仕上げる。
エンジンはクラシックバイクの顔とも言うべき
大きな存在ですので、一生懸命作ります。

(この時点では空冷フィンの自作は考えても
みませんでしたので)、エンジンは精一杯の
ディティールUPで仕上げることとします。
トライアンフのエンジンで目立つのはまず
プライマリー・チェーンのカバーそしてタイ
ミング・ギアカバーです。
このパーツが真空蒸着メッキしてあれば、
またちょっと仕上げも変わってきますが、
エッシーのこのキットは民間型でもメッキは
してありません。
仕方なく、ついでにギアカバーも含め、アルミ
箔で仕上げます。

塗装でこの金属感を出すのは絶対に不可能です。
メタル仕上げなんていう銀粉磨きの方法もあり
ますが、保存が効かない、手で触れない、など
欠点だらけ。
特に私のように後から汚したい作風では全く
使えません。
また、ベアメタルという市販の金属シートも
ありますが、薄すぎる、3次曲面は伸びない、
皴になりやすいなど、小面積以外は使い難いです。

クラシック・バイクにチャレンジする人は、
ぜひこのアルミ箔貼りをマスターされることを
勧めします。

写真A(-aがアルミ箔です) 写真B
第2回目の製作過程  フレームへの搭載
フレームと合わせる。
エンジンをフレームに載せ、仮組みから本格的に
組み上げます。
細いフレームは当時の英国車の雰囲気抜群です。
メタルを多用したエンジンと相まって、雰囲気は
素晴らしい(と自分で誉めています)。
何かもう半分ぐらい出来上がった気がしていま
すが、実はこれからが難関。

ところで、私のオールドルックスという汚し
仕上げですが、各パート、パートで塗装と同時
に汚していきます。
主にはエナメル系の墨流しや押さえ込み、そして
錆をちょいちょいと載せていきます。
全部仕上げてから再度調整で汚します。

写真C、D、E

第3回目の製作過程   ホイールの製作
ホイールのチェックと仕上げ
ホイールもバイク模型の雰囲気を左右する重点
ポイントです。

仮組みしたフレームに合わせて見ると、タイヤが
太過ぎる!! 
これはまずいね。
軽快なレーサーがぶっといタイヤでは興醒めです。
別キットからコンバートを考えつつ、ホイールを
作ります。
まずホイールを組み立て、リムからハブを切り
出し整形します。

今回は軍用車で、ホイールリムはメッキされて
いませんので、リムにこれもアルミ箔を貼って
金属のリムらしくします。
この時代は鉄リムが殆どで、黒塗装なども多かっ
たようですが、仕上りを考えるとやはりメタル
仕上げの方がよさそうです。
そしてハブを塗装し、穴空け、そしてスポーク
組みです。

足回りの力感を出したかったので、スポークを
少し太いもの(志賀昆虫No.4)を使いましたが、ちょっと太すぎました。
気にしない・・。
タイヤを嵌めるとやっぱり太いわァ。

写真F〜K

第4回目の製作過程   仮組みのバランス
仮組みでパーツのバランスを見る
タイヤはやっぱりプロターのベネリ250から移植
することとなりました。
はるかにバランスが良くなり軽快なレーサーの
イメージに変ります。
細く削りだしたフェンダーや、修正したタンク
を載せて、バランスを見ます。
オー結構いいじゃないか。それらしくなって
きたよ(とまた自分で誉めます)。

後ろに見えるのは、自作デカールです。

写真L

第5回目の製作過程   小物の製作・修正・コンバート
小物の製作・修正・コンバート
いろいろ考えた末、塗装はシルバーに決定。
塗装は昔ながらのラッカー(グンゼのMr.カラー)
です。

製作した小物は「直管マフラー」。
プラ丸棒で作ります。後部はアルミパイプで
薄い鉄板の切り口を表現。 写真M
それに「シート」は幅が広すぎるため、キット
のシートを縮めてレジンで複製。革張りします。
写真N
「後部シート」はバルサ材から削りだし、複製
が面倒で直接革張り。

バックステップに合わせて「ペダル類」を作り
ます。

「ハンドル」も、軍用では幅が広すぎて使えま
せんので 2mmのアルミパイプでコンチネンタル
スタイルを新造。 
「レバー類」もエイ仕方ないとベネリから移植。
写真O

遂にベネリはジャンクヤード行きです。
我ながら勿体ないね。

TANKマークやゼッケンプレートのナンバリングの「デカール」をパソコンで自作。 写真P
最後の製作過程   完成です
最後の汚しで完成
各部の汚しを全体的にトーン調整するため、
最後の汚しにかかります。
エナメル系黒や銀でベタベタ汚し、赤錆を載せて
いきます。
「ウーンいいぞ」なんていいながら汚くしてる
んですから、あまり趣味がいいとは言えません。

パイピングを済ませ、洋白線でスタンドを作って
完成です。

写真Q

ながながお付き合いいただき、有難う存じました。