BMW 500 レン・シュポルト プロター1/9
水平対向エンジン
トライアンフ製作後大分間が空きましたが、プロターのBMW500RSに取りかかりました。
実車ではBMWには1度も乗ったことがなく、特に興味がある訳ではないのに、何故かBMWは
もう2作目です。変ですね。
God Hand SUGITA氏が英国車にえらく入れ揚げているので、その対抗心?かもしれません。
キットはプロター初期の名作。エンジンはよいデッサンと内部構造まで再現された優れ物。
ただRSでは数少ないチェリアーニのテレスコピック・フォークをモデル化しているため
ちょっと残念。
ここは、やはりBMW特有のアールズ・フォークに直してやりたいですね。
そんなことでスタートしましょう。

最初の製作過程  2002年10月中旬
面白いパテを発見
Devconというアメリカの充填剤メーカーからメタリックパテというもの
が発売されてます。
磨けば光る金属光沢パテというのでエンジンのヘッドカバーの形状修正に
使用してみました。盛りつけたときはグレーの粘土状態なんですが、削り、
磨くとアラ不思議。本当にアルミ削り出しのような光沢が出てきます。
こんな風に盛り上げても良し、(離型剤は必要ですが) 型に押し付けて金属
パーツを作ることも出来るようですので、バイクモデルに限らず模型製作
には結構便利に使えるのではないでしょうか?
僅か200gで8,800円という高価なお値段が問題ではありますが・・・・。
エンジンパーツを作る
例によって図面を引いて
エンジンの空冷フィンを作ります。
BMWで一番面倒くさいのは
この部分ですね。
普通は片方だけ図面を引けば、反転し て
反対側もOKと思いますが、
RSはそうは行かないんです。
カム・ロッドの位置が左右同じで、
吸排気だけ前後逆転するという
変な方式なんで、
結局ヘッド部分の図面は2回引く
という面倒くささ。

ああ疲れる、といいながら
キットと比べると、さすがにシャープで
美しく見えますので、ニンマリする
ところでもあります。

アルミ板はフィン部分が0.3mm、
中が0.5mm厚を使用しました。
フレームの修正ポイント
(上左)大昔に組んだ500エンジンを載せてみます。(上右)実車の写真とを比較して見ると、かなりの個所に手を加える必要があること
が判ります。(1)このままではエンジンが前傾する。 (2)フレームの角度とエンジンのマウント位置の違い。 (3)スイングアーム・
ピボットが高すぎる。 (4)センターフレームが短く、サブフレームの取付け角度が変。 (5)センターの補強フレームが不足している。
などが主な修正点ですね。
以上の5ヶ所を修正したのが下の写真です。あくまでも自分のイメージですが、随分良くなったように見えます。
ガソリン・タンクの修正ポイント
トースターと呼ばれた箱型タンクは製作年度やレースによって多くのバリエーションがあるようですが、キットのものより、もう少し
角張っているイメージがあります。特にトップは平面に近いカーブです。
このタンクはこのキットの一つの見せ場(キモ)ですので、自分のイメージ通りに修正しますよ。
ホイール・リム
今回、インターネットで入手した
アフターマーケットパーツのホイール・リムを
使用することにしました。
1/9に使用できるパーツはコスモス・ファクトリーで
製作販売しているホワイトメタル・キャストのもの。
キャスト地肌のままですから、
最終仕上げは必要ですが、18吋、19吋、20吋の
ホイールリムやレーサー用メーター、
ガス・キャップなど面白いパーツがあります。
プロターやESCI (イタレリ)、RAEなどヨーロッパ
標準の 1/9モデル・キットに使える貴重な
アフター・パーツだと思います。
ご興味のある方は下記へお問い合わせ下さい。
写真は左が仕上げ済、右はパーツのままの状態。

コスモスファクトリーHome Page:
http://www.cosmos-factory.com/
第2回目の製作過程  2002年12月15日
デロルト・キャブレターのディティールUP
キットのキャブはゴロンとして表情が乏しいのでディティールアップします。まず中をくりぬいて中のピストンを埋め込みます。
そして旋盤を使いエア・ファンネルをアルミ丸棒から挽き出します。レンシュポルトはこの直線のファンネルが似合いますね。
あとは様々細かいパーツを修正したり追加したりして、実感を高めてやりましょう。BMWのキャブは結構目立ちますからね。
←フロート付きデロルトキャブの完成です。
エア・ファンネルから覗くと奥にピストンが見えるのは、
とても実感を高めてくれて素敵です。↑
BOXERエンジンの完成
デロルト・キャブができあがったところで
ボクサー・エンジンに取り付けて様子を見ます。
アルミや虫ピンの多用などで
随分メカメカしい感じがでてきて中々いいと
気に入っています。
BMWは古い英車などと違って
オイル洩れもなさそうですし、エンジンの
資料写真を見てもきれいですが、
どうものっぺりして表情がありません。
質感と重量感を出すためには、やはりある程度
汚してやった方がいいように思います。
オールドルックスですしね。

それにしても最近の作業のノロさには
自分ながら嫌になります。
エンジン作るだけで2ヶ月もかかるとはねえ。
実車のレストアの方が早いぐらいでしょうね。
きっと。
第3回目の製作過程  2003年1月20日
さて、またすっかり間が空きましたねえ。正月休みも何かと雑用や楽しいことも多く、模型三昧とはいかないもんでしたよ。

ホイール製作です。
いよいよホイール製作にかかりますが、このRSのホイールはハブの中側からスポークが出る独特の不思議なスポークの張り方を
しています。ニップルもリム側でなく、ハブ側で絞めているという面白い物。普通のハブではこの張り方が出来ませんので、アルミ板
の積層でハブを作ります。
リムはコスモ・ファクトリー製のメタルキャストのもの。表面を削ってやりますとなかなか美しく仕上がります。
治具はいつものプラ板に簡単な図面を貼付けたもの。 志賀昆虫のNO.2を張っていきます。
私は、実寸縮尺のスポークより、一段太いサイズのスポークを好みます。何か足元の力感が違うような気がしますんです。
まあ気分の問題ですがね。いくら太いのが好きと言ってもキットのプラ・スポークは使えません。そんなことで一応の仕上りです。
前部フォークを作ります。
このキットはチェリアーニのテレスコピック・オレオを使用した少数機種をモデル化しており、どうもBMWらしくありません。
そこで計画通りアールズ・フォークを作ることにしました。金属パイプは適当なサイズがなかったので、エバーグリーン製の中空
パイプ3.2mmと2.4mmを使用。中に洋白線の芯線を入れ、資料写真を見ながら目見当で曲げていきます。
このあたりは私の性格で実に適当です。CAD図面まで習得されようとする柴田一弥大先輩を見習わなければいけませんね。
トップ・ブリッジを1mmのアルミ板で作り、ついでに切除した後部フレームも作ります。
ショック・アブソーバを作ります。
アールズフォーク用のショックはキットには入っていませんので、
ジャンクから適当なものを調達。上下のブラケット部だけを使用
して、中間は1mmの洋白線でサイズを調整します。
中間部は、コイルを洋白線0.8mmで捲き、シリンダーとカバーは
アルミパイプを組み合わせて組立式とします。(下右)
ブラケットの取付け
出来上がったフレームとフォークを修正しつつ、ダンパー取付
用のブラケットをアルミ板0.7mmで作ってエポキシで接着。
かなり重いメタル製のホイールリムが付きますので強度的には
やや心配ですが、フレームも継ぎ接ぎですし仕方ありません。
(下左・中)
仮組み
フレームを
アルテコの瞬間接着パテ
で強化修正しつつ、
サフェーサーを吹き、
ペーパー掛けし、
ショックを取り付けて
仮組みして見たところで、
今回は終了。
何となく形には
なってきました。
やれやれ。

さて次回は
どこ迄進むことでしょう。
第4回目の製作過程  2003年2月12日
パーツの修正と新規作成
さていよいよ細かいパーツのフィッティングです。フレーム・デッサンを修正すると、例によって殆どのパーツは合わなくなりますので
こつこつと修正したり新たに作ったりします。面倒ですがこの段階を超えると嬉しい完成に近づきます。
フェンダーとシート
フェンダーは「一体どうしちゃったの?」というぐらい短い。
特にリア・フェンダーは半分程度しかありません。
仕方なくプラ板でつなげます。
勿論一枚ではこのRの深い3次曲面は作れませんので、
直線の中央部分、カーブさせた左右部分、の3枚を
切りだし、貼り合わせ、乾燥後 削りだして、パテ修正する
という意外に面倒な作業です。

シートは個体によって様々な形状が見られますが 
ここではやはり初期型のものに修正します。
ストッパーが左右に大きく張りだしたセクシーな奴です。
この写真ではまだ左右の張りが足りません。

フェンダーは形を修正して前後のスイングアームにフィッティングさせてから、フェンダー・ステーを真鍮の0.8mm線で作ります。
フェンダー・ステー留めはアルミ箔を細く切ったものを貼り付けて穴空けし、虫ピンで留め、塗装して仕上げます。
シートの半完成  シートは何度か形状とフレームへのフィッティングのチェックを繰り返して形を修正します。
大体よさそうなので皮を貼って見ましょう。ウン、何かいい感じです。レトロッぽい雰囲気のシートになりそうですよ。
タンクのチェックと塗装
トースターTANKも形状チェックを繰り返して形を修正しました。
最大の問題点は親子罫とBMWバッヂのデカールです。
修正したタンク形状に合わないこと、バッヂはいかに何でも大き過ぎて
玩具のように見えてしまいます。これもいつものように自作ですね。
左写真はそのラインとバッヂと位置をチェックしているところです。

タンクを黒塗装してみますが、のっぺりしていて特徴が見えません。
いかにラインやバッヂが、それらしい雰囲気を出しているかが分かります。
フィラー・キャップはコスモス・ファクトリー製の別売パーツです。
いやあよく出来ているわ。

アッセンブル開始です。
いよいよ楽しいアッセンブルです。
とはいえ、まだまだ細かい部分の
目処が立っていませんので、先は
遠そうですが・・・・。

次回は完成一歩手前をお見せできる
でしょう。

第5回目の製作過程  2003年2月24日
スミス・タコメーター
いろいろな資料写真を見ているんですが、どうも
トップブリッジとタコメーター・プレートの形が判りません。
RSは僅か25台程度しか作られなかったという話ですが
それにしても個体によって様々な改造個所が見られ
これがオリジナルというのは確定できません。
コスモス・ファクトリーの千田さんにアドバイスを貰って
トップブリッジとタコのプレートを分離。間にゴムの緩衝材を
入れて2本のボルトで固定する形にしました。
タコはコスモス製のスミス・マグネティックを使用しました。
千田さんが自信作というだけあって、素晴らしい出来栄え。
この時代のプロターキットは玩具のような大きな
メーター・ケーシングと、何故か白いプレート・デカールが
入っていて、ちょっと使えません。
前作(RD56)の自作の手間を考えると、このパーツ・キットは
あっという間に出来てしまい、その仕上がりは実に見事で
嬉しくなります。デカールは12,000 MAX.を使用。
調子に乗って赤いスパイ針を加えてみました。
ブレーキやデフやペダル類加工
フロントは片パネルにエアスクープの金網を嵌めて固定。
ダブル・リーディングリンクのブレーキレバーを別部品で作り、
虫ピンで引きワイヤーを加工します。
リアのデフはそれらしく塗装して、エンジンとの連結ロッドを
スイングアームから繋ぎます。
しかし、ハブとデフの厚みが思ったより薄くて、スイングアーム
の幅と合わないのは困りました。
結構いい加減にパーツ自作を続けていると、最後の収まりが悪い
ことがよくあります。
ブレーキレバーは ZIPPS齋藤さんから貰ったものを加工して、
2mm真鍮パイプで作ったステップに嵌め込みます。
反対のシフトレバーはステップと共に細・太の真鍮パイプの組み
合せを半田付けして自作します。
シフトリンケージやリアブレーキレバーはキットパーツを成型
して使用しますが、虫ピンやアルミパイプなどをこちょこちょ
付け足して、何となく実感を高めます。
どうやら
ようやくこんな状態まで
漕ぎつけました。
いろいろ出来なかった加工
や(いつもながらの)仕上げ
の粗さに不満はあるものの
ここまで来ればもう文句を
言っても始まりません。
シートを載せタンクと
キャブを接続すれば
随分形にはなるでしょう。
そうそうハンドル回りも
まだでしたね。
しかし自作の大物としては
細長いメガフォンマフラー
とエクゾーストパイプが
残っています。
メガフォンは旋盤加工
するか、SUGITA式に
手巻き寿司方式で作るか
迷うところです。

トースタータンク
ガソリンタンクもあの特徴
的なトースター型に修正を
終え、自作デカールを貼って
準備が整った感じです。
このガスキャップもコスモス
ファクトリー製でよく出来て
います。
こういう小物がきちんとして
いると非常に引き立ちますの
で、とても助かりますよ。
第6回目の製作過程  2003年3月11日
これが最後の製作報告です 
昨年10月から始めたプロター1/9 BMW RennSportも 
どうやら大団円を迎えました。

こまごま部品の自作-1 
レーシング・ゼッケン 
レンは資料写真では、フル・カウル付き、ハーフカウル付き 
カウルなしでゼッケンプレートの3種ありますが、やはり 
1番雰囲気のあるゼッケンプレート・タイプにしてみました。
それも金網虫よけの付いた特徴的なタイプとします。
0.5mmのアルミ板を切って周囲をアルミ線でトリミング 
リブを作ります。
金網は0.3mmアルミ板を切り抜いてステンレス 
メッシュを裏から貼り付けます。
ゼッケンナンバーとBMWマークは自作デカール。
数字の4は特に考証上の意味はありません。
雰囲気、雰囲気。
国際500ccクラスの黄色に塗って仕上げます。
BMWマークは、アルミ板を丸く切り抜いた上に 
デカールを貼ったもの。
ちょっと厚みがある方がそれらしく見えますからね。
こまごま部品の自作-2 
クリップオン・ハンドル
キットのものは形状も違い、サイズも少し小さいように思います
ので使いません。自作も出来ませんので、コスモスファクトリー
製のセパハン・バーと、(MAD SUGITA原型作成で)ZIPP氏鋳造の
エンドボール付レバーを使ってみますが、この時代のBMWは伝統
的にスチール加工レバーを使用していますので、今いち雰囲気が
出ません。仕方なくアルミ板を曲げて自作。ヤスリでシコシコ
削ります。あー面倒臭い。
グリップはオーディオ配線用のシールド線を使用。ノッペリして
いますので、グリップ固定用の針金を、細い芯線を巻いて表現して
やります。右グリップはフロントブレーキ、アクセル、進角調整の
ケーブルが3本。左はクラッチとキル・スイッチ?の2本がでて
いるようです。
このレイアウトも個体によって様々に違うようで、実はまあ良く
判らないというのが本音。これもまあ雰囲気、雰囲気です。
いいねえ、この雑な性格。(笑)
こまごま部品の自作-3 メガフォンマフラー 
細くて長いメガフォンの自作は頭が痛いテーマでした。
折角の旋盤を活用して、ちょっとチャレンジしてみましたが 
均一に長いテーパーを(肉厚も薄くして)2本も作るのは 
ブレがでて、とても難しくあきらめました。
そこでMAD SUGITAの手巻寿司方式を採用。
細いので0.2mmでは何度巻いても折れ目が出て失敗します。
仕方なく0.1mm板に切り替え、何枚かトライして 
やっとまあまあのメガフォンが完成。
排気管は4mmのアルミ棒を使用しました。
上がキットのもの。→
こまごま部品の自作-4 
スタビライザー
フロントのアールズフォークのブリッジにスタビライザーが装着されている
個体があります。ファクトリー出荷状態で付いていたものかどうかは判りませんが、
一応取り付けて見ました。
なに自作といったって6mmのアルミ棒をカットして、磨いて張り付けただけですから、
自作って程のことでもありませんが、実はこういう細かいところが、とても実感表現には
役立つんだと(私は)思っています。なにせ「神は細部に宿り給う」ですから。(笑)
タンクとキャブの接続
トースター型タンクを載せ、キャブの別体フロートと接続します。
タンクから斜めに降りる太いパイプや途中のコックなどの理にかなった剛健さは、さすがBMWと思わせる個所で、チューブで簡単に接続処理する英車などとは設計思想が違うなあと思わせます。
そんな実車の見せ所なんですが、タンクとフロートの角度が違ってあまり上手く繋げませんで、反省しております。
マフラーの仮留め
ここまでくれば、後は全体組立から、パイピング、スタンドを作ったり、最後の汚しや錆加工をしたりすれば完成ですね。
近日中に完成画像をアップできるでしょう。
随分時間をかけた割にはもう少し、あーしたかった、こーすべきだった、という反省しきりです。
それでも今回は、素材としてのプロター・キットを存分に堪能しましたよ。
追加画像です。   2003年3月20日
この最終仮組みをするあたり
までは結構上手く出来ている
つもりだったんですがねえ。
まさかデッサンが狂っている
とは思いもしませんでしたよ。

スタンドなんか作って遊んだり
して・・・。

まあそれでも完成は完成です。
次回作へと頭を早く切り替え
ましょう。

気には入っていませんが
2003年3月20日取りあえず完成です。
GARAGE1に収納済。