Heller(エレール)は現存するフランスのキット・メーカーです。
近年はハンブロール傘下に吸収され、ちょっと元気がないようですが、90年代半ばまで
陸・海・空・民・軍すべてのジャンルを手広くキット化していました。
バイクに関しては1/8という初期のUS標準スケールと独自のラインナップで展開、マニアックな車種選択がユニークです。
1/8という大スケールですからパーツは大味に見えますが、どうしてどうして、凝ったキットに仕立てています。
1枚ずつ組み立てていくエンジン・フィンの精密度はNO.1ですし、きちんと穴空けされたチェーンや、針金で手巻きさせる!?
リアサスのコイルもマニア心をくすぐりますね。(笑)
市場に出回らず、あまり馴染みはないでしょうが、一度味わって欲しい名作キットが多いと思います。
しかし、エレールは残念ながら日本ではあまりメジャーにはなりませんでした。
直輸入以外では1970年代半ばの極く一時期はトミーから、また90年代半ばにはグンゼ産業が輸入して説明書などを日本語に
直して国内発売されていましたが、あまり売れた気配はありません。

ここに載せたものの大半は、昨年アメリカのコレクターからメールが来て、一括購入したものです。
エレール・バイクキットの全ラインアップは分かりませんが、おそらく8割程度は網羅していると思います。
BMWシリーズ
エレールが最も力を入れているのがこのバイエルンのボクサーエンジンのバイク達です。
大箱(本当に大きい箱です)4種の100シリーズと、中箱の/5シリーズ4種がここにはありますが
簡単なバリエーション違いで別キット仕立てにしていますので、他にもまだありそうな気がします。

BMW Series

100RS                         100RT
  100RT Gendarmerie(ハンブロール社名入り)               R100S
R50/5 R60/5          R10075/5               R60/5 Polizei
R/5 シリーズ
これは(実車もそうなように)完全にパッケージ・バリエーション・キットです。
特におかしいのはR50/5とR60/5の2つ。背景の赤が微妙に違うようには見えますが、ボックスアートも全く同じですし
中味も全く同一のもの。
箱にはR-50/5 R-60/5と書いてありますが中の説明書はR-50/5にもR-60/5が入っているという手抜きぶりです。
やはり実車に乗っている人が自分のパイクと同じ仕様のものを作りたいだろうと想像しての細分化ではないでしょうか。
そんなことはともかく、このボクサーエンジンを、精密なエンジンフィンで組み上げたら素晴らしいだろうなあ、と思わせる
シリーズです。
ホンダ・シリーズ
CB750 Kをベースにした展開。基本のCB750は2種類あって、一つはエレール独特のエンジンフィン組立型。
もう一つは一般的なブロックタイプ。(ナガノと同一のもの?)。
バリエーションはハーフカウルを付けた900SSと有名なJPのボルドールタイプの2つ。

HONDA Series

900SS Bol D'or
CB750 K 上段:エンジン・ブロック型  下段:エンジン・フィン組み上げ型
カワサキ・シリーズ
カワサキもエレールのお気に入りのバイクのようです。耐久レースでのグリーンモンスターの活躍がフランス
でも相当有名だったのでしょうか。 初期のマッハIII のシリーズ(中箱)とZ1000の大箱シリーズがあります。

KAWASAKI Series

      Z1000                          1000Z1R
1000 Ltd                     1000 Godier Genoud
Mach III 500                 Mach III 750
ラベルダ・シリーズ
HONDA CB72のエンジンをそっくり戴いてしまったイタリーのラベルダもキット化されています。
SFとハーフカウル付きのコンペティションの2機種。他にももう1、2機種あったような気がします。

LAVERDA Series

←750SF     750 Competition ↑
ノートン・コマンド・シリーズ
コマンドはSSとロードスターの2種類。これも実車は多シリーズ化されていますので
多分プロダクションレーサーやインターステーツといった、もっとメジャーな機種がキット化
されている筈なんですが、見かけたことがありません。 

NORTON Command Series

SS                      750 Roadster
箱のサイズからいうとこれは小箱のシリーズ。ヤマハのTY125とスズキのバンバンの2機種が出ています。
これ以外に小箱シリーズがあったのかどうかも不明です。

E.T.C.

YAMAHA TY125             Suzuki RV90(Van Van)

国内展開Series

私の師匠「小出晃」先生の下で、このエレールの展示会用サンプル作りを修業したことがあります。
今の私の技術の殆どをこのとき教えてもらいました。エレールはその時を想い出す懐かしいキットです。
Tommy BMW R75/5
例のトミカのトミーが一時エレールを扱って
いました。トミカ色のバカでかい箱に入った奴です。
日本でパッケージを作り直すと悪くなる見本ですね。
Gunze CB950
上のエレールコレクションが手に入る以前グンゼ・パッケージのものを手に入れました。これも上のトミカやエレールの大箱同様
バカでかい箱で始末に困ります。
想像ですが、グンゼ産業はレベル社と訣別した後、このエレールの精密キットなどを扱って、やがてバイクや
クラシックカー、タンクなどのハイテク・キットを生みだしたのではないでしょうか。
エレールはグンゼに影響を与えた記念碑的キットということにしておきましょう。
Honda 950SS Bol d'Or              Honda 950SS
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