ノートン・コマンド750 プロダクション・レーサー キット:プロター1/9
Madのプロヴィーニ氏追悼展出品作品。
プロヴィーニ氏追悼展をすることになってMADに声を掛けました。
「私も出品するから、何か作ってよ」
「でもいろんな人に出品して貰いたいから我々があんまり凝り 
過ぎの作品作ってると、皆やる気をなくしちゃうと困るんで、
製作過程は暫く後にしようね。特に私は主催者側だしねえ・・・・・」
なんてことで「ただいま製作中」は後回し。
ようやくMADのノートン・コマンド製作記第一弾を掲載することになりました。

私のドカティ・イモラ・レーサーは遂に期間中には完成せずです。

製作過程 9月6日〜10月14日
プロヴィーニ氏の追悼作品展が行われることを聞いたのが8月でした。
1/8の鬼門とでも言いましょうか、AJS 7Rに次いでCB750も製作が中途
半端で止まってしまっていたところでしたので、 気分転換に1/9に戻って
みることにしました。
気分転換のつもりですから、なるべく楽ができるようにとプロターキットの
中でも評価の良いノートンコマンドを選び、金属部分は最初からSWASH
のZIPP氏に頼むことに決め、早速製作に取り掛かりました。
今までにもいくつかの完成写真を見る機会がありましたが、キットのまま
ですとカウルが大き過ぎ、タイヤが小さ過ぎるように思われます。
これらを修正して、マフラーをもう少し跳ね上げさえすれば、そこそこの
見栄えになるだろうと簡単に考えていたのですが、資料を集めてみますと、
どれがプロダクション・レーサーらしさなのか分かりません。
カフェレーサーですから当たり前なのかもしれませんが、個体によって違い
がありすぎるのです。
結局外見はレーサーもオリジナルもほぼ同じであろうと、コマンドの写真
集やオーナーズマニュアルなどを見て作ることになりました。
チェックとタンク修正
フレームはリア部分が少々高めで
ある以外ほぼ正確のようです。
フロントフォーク取り付け部分を
低くし、リアショックの取り付け
部分を小さくするだけで修正を済
ませました。
タンクは高さが足らないため2mm
ほど高くし膝が当たる部分をえぐ
ります。(写真左上)

コマンド750 パーツ・リスト(右)
リア・カウリング修正
リアカウルも高く丸く盛り上がっているため、削りこんでアールを
無くすと同時に5mmほど長くし、またナンバーをつける部分を一回り
小さくしてあります。(写真上)
フロント・カウル修正 
ロケット型カウルは、ライトハウスがすっぽりと納まる形状ではなく 
フロントフェンダーの逃げがライト部分まで喰い込むのが正しいようです 

ので、パテ盛りと切削の繰り返しで形を整えました。(写真右) 
カウルの取り付け 
カウルの形ができたところで 
フレームへの取り付けがネジ留め 
できるようステーを自作。
今後、何度も仮組みをすることが 
予測されますので、実車同様に 
取り外しができる方が便利と 
考えたからです。この辺りから 
「息抜きとして簡単に仕上げる」という 
初心を忘れはじめ、
いつもの拘りモードに突入です。
(写真右)
スクリーン自作 
スクリーンは初挑戦となるヒート
プレスで自作。
板に穴を開け、0.5mmの塩ビ板を
貼り付けて、コンロであぶって型に
押し付けるという単純な方法ですが、
塩ビ板と型の間に空気が入って
ボツボツができたり、均一に伸び
なかったりとかなり苦労しました。
仮組みでのチェック 
外装部品をフレームに載せて写真を撮り
実車写真と重ね合わせたり、同じ角度で
の写真と比較するなど全体のバランスを
確認します。
Hリムの仕上げ 
タイヤが小さいという問題には、コスモズ製の19インチHリムと、
イタレリから再発されたMANXのタイヤを使用することで対処しました。
リムはエッジの高さを低くし、それに見合うようにかまぼこ型の内側も
削ります。
リムは美しく仕上がりましたが、旋盤で削って形を整える過程で折角の
19インチ径も小さめになってしまい、理想とするサイズを確保することが
できませんでした。

製作過程第2回
10月15日〜1月5日まで
前後ブレーキの製作 
フロントのディスクブレーキが嫌いなので、
初期型のドラム・ブレーキを作ります。

ツイン・リーディング・ブレーキはジレラのリアブレーキパネルを原型に 
キャスティングしてもらったものを加工。
エアスクープに金網をつけ、扇形のすぼまっている部分を削りとります。
さらに後ろ側に3つのエアダクトをあけ、
その輪郭を浮き立たせるためにアルミパイプを嵌め込みます。
出来上がったブレーキパネルにピッタリ納まるように直径2cmのアルミ棒を 
旋盤で挽いてハブを作ります。
ハブの反対側は、本来はゆるやかなお椀状のカバーがネジ止めされている構造ですが、
これもアルミ棒を旋盤加工し、一体成形でごまかしています。
あとはいつものように空冷フィンをアルミ板で積層して
フロントブレーキとハブの出来上がりです。
ツインリーディングのステーなどは1mmアルミ板からの削り出し、
可動部分は0.1mm洋白板と真鍮パイプ、6角ボルトの組み合わせで作りました。

リアのブレーキパネルもアルミ棒から削り出しました。
下右の写真です。
各レバーやペダルの製作 
キックレバーやチェンジレバーは、実際に可動することを考えた場合、
干渉してしまう妙な形状をしているため、ホワイトメタルでキャス
ティングしたものを曲げて形を整えています。
クリップオンハンドルの自作 
フロントフォークはアルミパイプに置き換え、
ハンドルバーはアルミ棒、レバーは削り出しということで、
フロント周辺は全て自作となりました。
各種パイプジョイントの製作 
キリアブレーキステーや、フューエルコックは各種パイプや6角
ナットを組み合わせて製作。
メッシュパイプの両端は、内側に真鍮パイプを差し込み、外側を
細く切った洋白板を巻きつけて留めます。
こうしておくと接合部に真鍮線などを通すだけで、簡単にパイプ
の接続ができます。
エンジン・マウント部の取り付け 
エンジンはすべてZIPP氏にキャスティングしてもらった 
ホワイトメタル製。
エンジン下部はいつものように、洋白線をブスブス刺し、
平行度合いを見ながら歪みが出ないように 
フレームにマウントします。
フレームがもともと金属製ですから強度は確保されていますが、
一部プラのステーを使用しているところに 
少々不安があります。
そのプラ部分にセンタースタンドが付く構造なのですが、
完成後、重さに耐え切れずに割れてしまいました。
エンジンフィンの切り出し 
エンジンフィンは、今まで適当な形にアルミ板
から切り出して、雰囲気だけで成形していました
が、1/9の2気筒エンジンは、いい加減に作ると
歪みが出そうです。
そこで、オーナーになら?パソコンで設計図を
描くことにしました。
っが、不慣れな自分にとっては、複雑な形状の
一枚一枚を作図するのに膨大な時間がかかった
上、出来上がった設計図は左右のカーヴの違いが
出ない程度に参考となる型紙低度のもの。
結局は、型紙にあわせてアルミ板を切り出しは
したものの、いつものように適当にヤスリで
削って仕上げるハメになりました。
エンジンフィン積層とキットとの比較 
エキットパーツとの比較写真は、フィンのエッジを薄く削る前のものです
が、フィンを自作しただけの効果があったのかないのか分かりませんね… 
少なくとも金属感は出ますので、自分ではよしとしていますが。
金属パーツの借り組み 
金属パーツを仮組みしてみました。
リアサスのバネは、外形1mm
のアルミパイプの中に洋白線を
通したものを巻いてあります。
1mmの洋白線をそのまま巻いても
よいのですが、堅すぎて上手く
巻くことが出来ません。
プライマリーチェーンカヴァーに
ある3つの蓋は、アルミ棒を
削って埋め込んであります。
<参考>キットのサイレンサー・パーツ
サイレンサーの加工 
キットのサイレンサーは、膨らみが緩やかにカーヴしているものでした。実車でもそのようなものはありますが、それよりは角度が
ついたもののほうがメリハリがつきますので、最後尾の円錐形が接合される部分に0.2mmほどの薄い輪を嵌め込んで浮き立たせました。
今回、チェーンは組み立てる時間がないので、MANXで使用したのと同じ、ホワイトメタルのチェーンを加工しています。
外装パーツの仕上げ 
大方の部品はそろいましたので、外装パーツの仕上げにかかります。
スクリーンは、0.5mmの虫ピンを刺して、真鍮パイプで裏側から留めます。

デカール貼りは失敗 
デカールはいつものようにオーナーに 
作っていただきました。
同じものをいくつも出力していただいたにも 
関わらず、デカール貼りは失敗の連続。
予備を全て使い果たして 
やっと貼り終えたと思ったのですが、
なんとタンクマークは上部に付き過ぎです。
バランスが悪いのでNORTONのロゴの下に 
別のデカールをつけましたが、
ゴテゴテと煩くなり過ぎたようです。
(これは新たに貼りかえる予定です)
追悼作品展締め切りに間に合わなかったため、デカールを貼った後もクリアーを吹かず無理やり完成としてしまいました。
作品展に間に合わなかったらエンジン模型として出品しようと思っていましたが、正月から6日間で70時間以上も製作し、どうにか
間に合いました。
しかし、出来上がったものを見てみると、一体何にこんなに時間がかかったのだろうかと自分でも不思議になります…(笑)

再修正
不真面目に追悼展出品を
キャンセルした私と違って、
正月に(家族で)必死になって
作ってこの素晴らしい
コマンドを間に合わせて
くれたMAD Sugita氏は、
デカールが駄目だの
クリア掛けしてないのと
反省しきりで、
どうしてもやり直したいと
言ってきました。

そんなことで、再び分解して
デカール貼りから細部の
修正を行ってくれている
ようです。
これがその途中写真です。

完成しましたら、
再度ガレージ2でお目に
かけたいと思っております。

Kim's House Garage Owner